革靴の履き心地を検証する(反り返り比較)(クロケット、シェットランドフォックス、オリエンタル、エンツォ・ボナフェ)
革靴の履き心地を左右する要因一つに返りの良さがあります。返りが良い靴は、歩行時にボールジョイント辺りでしなやかに屈曲してくれるので、抵抗が少なくて歩きやすい。逆に、返りが悪い靴は、抵抗が大きくて、歩きにくく、大げさに言えばロボットのような歩き方になってしまいます。さらに足が圧迫されるので痛くなりやすかったりもします。
返りが良いと、踵が上がりやすく歩きやすい。
今回は、ワタシが所有する革靴の返りの良さを比較検証して、履き心地の良さとの関係を検証してみたいと思います。比較するのは、以前に比較をしたストレートチップの、3つ(クロケット、シェットランドフォックス、オリエンタル)とエンツォ・ボナフェの4足。
比較は革靴の底全面が地面に接地した状態から、カカトを上げていって、屈曲部の角度が45度になる時にどの位の力で押し付ける必要があるかで比較してみたいと思います。
結果は、以下のようになりました。
- オリエンタル(グッドイヤーマッケイ製法) 約2.5kg
- クロケット(グッドイヤー製法) 約5.0kg
- エンツォ・ボナフェ(グッドイヤーマッケイ製法) 約5.0kg(試し履き程度)
- シェットランドフォックス(グッドイヤー製法) 約8.5kg
オリエンタルの数値の低さが、突出していますが、このような順番になりました。実際、履いたときの感触としても、以下のようになっていて、自分の感覚とも合致します。やはり返りの良さは、履き心地に直結してますね。
- オリエンタルは屈曲が非常に良くてストレスフリーな履き心地。製法が、グッドイヤーマッケイ製法なので、ソール自体が柔らかく返りがよく、さらにアッパーがスエード素材なので、アッパーとしても表革より柔らかいことが原因だと思います。
- クロケットは、グッドイヤー製法なのでガッシリした履き心地です。購入当初は硬かったのですが、シングルレザーソールということもあり、馴染んだ今は、カチッとしながらも履き心地は良好です。
- エンツォ・ボナフェについては、試し履き程度で、まだ馴染んでいないにも関わらず良好な反り具合。製法、アッパーともにオリエンタルと近く、履き心地も近いですね。
- シェットランドフォックスは、購入当初はまともに歩けないぐらい硬かったですが、改善してきています。とはいえ、まだちょっと硬いなぁ〜という感じですね。
こうやって実際にデータで比較してみると、ブランドのコンセプトや、靴の製法の特徴を実体験としてよく深く理解することができました。
若い頃は、英国靴至上主義で英国製のグッドイヤー製法以外は認めない的な所もありましたが、年齢も上がり、革靴はあくまで仕事を快適にこなす為の道具と捉えて、履き心地を重視した靴をセレクトすることが多くなっています。そうなると、足型が日本人に合いやすい国産や、イタリア靴、フランス靴など、選択肢も広がってきて面白いですね。
もちろん、靴の購入にあたっては、履き心地は重要なファクターですが、デザインや耐久性、価格など、検討する項目は多々あります。履き心地において重要な、返りの良さも考慮するとよいと思いますので、今回の検証結果は、1つの参考になるのではないかと思います。
今回、比較したのは、以下の3つのストレートチップとエンツォ・ボナフェ。左から、シェットランドフォックス、クロケット&ジョーンズ、オリエンタルシューズ。
エンツォ・ボナフェは、シングルモンクのスエードになります。
見た目を中心とした比較はこちらになります。